大阪・関西万博で活躍するはずだったEVバスを巡り、国会で大きな議論が巻き起こった。参政党の吉川りな議員が国土交通省や経済産業省に対し、「国産EVバス」として導入された車両の実態について厳しく追及したのである。その内容は、日本のものづくりや税金の使い道に関わる重大な問題を浮き彫りにした。
問題となっているのは、EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)が提供したEVバスだ。同社の車両は長らく「国産EVバス」として紹介され、多くの自治体や交通事業者から期待を集めていた。しかし、その実態について国会で新たな事実が明らかになった。
吉川議員はまず、「国産」や「メイド・イン・ジャパン」という表示について質問した。経済産業省は、不正競争防止法上、原産地表示によって消費者や取引先に誤認を与えることは禁止されていると説明したが、具体的な判断は個別事案ごとに行われるとして明確な見解を避けた。

続いて議員は、EVMJの公式資料やプレスリリースを提示した。そこには「国内企業が開発・製造を行うEVバス」「国産EVバスとして全国初」などの表現が数多く並んでいた。しかし実際には、車両は中国で組み立てられ、日本へ輸入されたものであることが国会答弁で確認された。
経済産業省は、これまで販売されたEVMJのEVバス331台すべてが中国で組み立てられた車両であると説明した。一方で国土交通省は、日本国内で行先表示機の取り付けやラッピングなど最終的な仕上げ作業を実施していると説明した。
しかし吉川議員は、「それでは国産バスと呼べるのか」と核心に迫った質問を投げかけた。ところが国土交通省も経済産業省も、「国産かどうかを判断する立場にない」として明確な回答を避けたのである。
この答弁に対し、多くの国民が疑問を抱くのは当然だろう。国産EVバスとして紹介されてきた車両が、実際には中国で製造されていたという事実は、少なからず衝撃を与える内容だった。
さらに問題は製造国だけではない。大阪メトロは、万博で使用していたEVMJ製EVバス190台すべての運行停止を決定した。相次ぐ車両トラブルや安全性への懸念が理由とされている。

国土交通省によると、全国317台のEVMJ製EVバスを総点検した結果、113台で不具合が確認されたという。実に約3台に1台の割合で問題が発見されたことになる。この数字は決して軽視できるものではない。
また、ブレーキホースが車体に接触する不具合なども確認され、リコールが実施された。国土交通省は立ち入り検査を行い、再発防止策の徹底を指導したが、不安の声は依然として残っている。
こうした中で注目されたのが補助金の問題だ。これらのEVバス導入には国や自治体から多額の補助金が投入されている。つまり、その原資は国民が納めた税金なのである。
ところが国土交通省は、補助金審査の際に車両が海外製か国内製か、あるいは部品の使用割合などについて確認していないと説明した。WTO協定との関係から、特定国製品を差別的に扱うことは難しいという事情もある。
しかし吉川議員は、「だからこそ導入側が国産というイメージを持って判断した可能性を検証すべきではないか」と指摘した。実際に自治体や交通事業者が、国内企業による安心感や信頼感を理由に導入を決定した事例も紹介されている。
さらにEVMJは現在、民事再生手続きに入っている。会社側はメンテナンス業務を継続するとしているものの、長期的な部品供給や保守体制への懸念は拭えない。公共交通機関にとって、継続的なサポート体制は極めて重要な要素だ。
今回の国会質疑が投げかけたのは、「EV推進そのものが悪いのか」という議論ではない。国民の税金が本当に日本の産業育成や公共交通の安全確保につながっているのか。そして導入の過程で国民に誤解を与えるような説明はなかったのかという根本的な問いである。
脱炭素社会の実現に向けてEV化は重要な政策だ。しかし、その一方で安全性や品質、製造実態、補助金の透明性まで含めて厳しく検証する姿勢も欠かせない。吉川りな議員の追及は、日本のEV政策のあり方そのものに一石を投じる国会質疑となった。